其の八
2015.4.10 

漏れ検査工程の合理化案作成と予算獲得のために

◎測定と判断の部位を自動化しよう

構造体の動きをどんなに自動化してもポカミスを撲滅できないし、品質保証の向上につながらない。
漏れ検査は外見には動きの無いところの自動化に目をつけよう。目で見て頭で判断している作業部位の中で、一日連続繰り返しの工程が危ないと認識しよう。

◎省人・省力・時短は最もポピュラー策と考えよう

人の動きと体力でする作業を機械に置き換え、人工減らしができれば、先ずは合理化推進案として初級合格! 予算獲得第一歩。
省人とポカミス対策にも貢献すると考えましょう。

◎市場クレームを一掃しよう

品質保障推進策となると省人・省力・時短のような単純明快な予算振り当て計算が、公式どおりにはめ込めない。だが市場クレームを減らし、市場評価を勝ち取るには、人の知覚と思考判断の分野を自動化することを考えよう。
しかし、この分野の自動化を実現したからとて、1人工も省人しないこともあり、結果を評価する時間を待つだけの力量が、自分の組織にあるかどうかを見極めて静かに笑っていよう。

◎見学ロードを作ろう

生産・検査工程を見学コースの目抜き通りに変えよう。
顧客(メーカ・ユーザ)の信頼を勝ち取るために、最新の品質管理体制と品質保証に対する取り組み姿勢をアピールしよう。

◎路地裏を表参道に変えよう

最も遅れた、最も手つかずに放置されてきた暗い工程に光をあてましょう。
商能向上と作業環境改善に検査行為の自動化は、路地裏を表通りにするようなもので、作業環境が良くなり、作業員1人1人の管理意識が高められ、これに追髄して商能(商品力)が向上すると信じよう。

◎漏れ検査は応化する

省人にも省力にも時間短縮にもならなくても漏れ検査の自動化は、先進の生産工程と成熟した精神集団で増殖発展します。これは進化ではなく応化と言います。
生産ライン構成に柔軟に対応した装置に仕上げましょう。

其の七
 

漏れ検査は相対的静止で決まる

○ ワークと冶具の相対変位は致命的欠陥と認識しよう
○ 対偶が息をし、笑い、騒ぎ出したら、もうお手上げと覚悟しよう
○ 測定中の温度勾配を無視できる自信は?

漏れ検査は漏らさない対策で決まる

○ 開口部の密閉は簡素に単純一重に
 二の矢は通用しないことを学習しよう
 天井板で雨漏りを止めますか(おむつで止められない分をパンツで止めるのですか)
○ 消耗部品を見えないところに閉じ込めたら継続性は無くなるネ
 使い捨て装置をつくるのですか

シール材は力を支えるものではない

○ 固定材とシール材の役割分担をわきまえない設計者は去レ
○ オーリング、パッキンはいつも(毎回)同一歪量になっていますか
○ 手心操作を要する冶具、装置は完成度が低いと心得よう
○ 手ごころがわからない作業者は低能者と自覚せよ

オンライン検査はよごれ対策で決まる

○ 雰囲気のよごれに無関心でも工程は安泰か
○ 浮遊粉塵、沈降、堆積は一刻も止まることなし
○ ワークのよごれは検査前に除くべし
○ 表面のよごれは買い手と売り手の心をよごし
 内部のよごれは造り手と使い手の心をよごす
○ 冶具のよごれに無策稼働を禁じヨ
 一直終了毎に清掃を実行、作業の一環を規定しよう

装置も作業員も休まず健全に継続稼働できる環境をつくることはそんなに難しいことですか

○ よごすナではなく、よごしたら拭ケ
○ きれいに使いましょう ではなく、使ったら手入れシロ
○ 使った者が整備する。清掃員、片付け員を雇ってはいけない

その工程が短期で終るか止(辞)めるなら何でもよいのですが。私どもは10年一単位で考えています

 だからイットの世界もネットの世界も時価総額の世界もツライのです

其の六
 

時代錯誤の門

ある自動車工場あるいはそのグループ工場の正門で、入門てつづき中に守衛氏から「車を門の外に置いて来い」と命令されたら・・・あなただったらどんな反応をするでしょうか。

あなたが今乗りつけた車は、訪問したこの会社またはグループ親会社製では勿論なくて、日本の他社製だからなのだが、自動車業界では今もって、この21世紀の現代においても出くわす光影です(でも なぜか外車は通らやんせ)。

あなたも私も、この会社の下請ではないし、今回はたまたま「おまえんとこのテスタを持ち込んで、漏れ検査をして見せてくれないか」と言うことだったのだが。
そんなときはこのように言ってみましょう
「私の この靴はA社製です。もし御社がB靴メーカだったら、門の外で靴を脱いで来い、と云うのですか?」と。
一方、世の中はそれほど棄てたものでもなく、例え一社でも先進の会社は実在するもので、かろうじて心救われる思いがすることもあります。
”当社は社員にも自他を問わず、気に入った車種での通勤を規制してはいない。どんな車が好まれるのかがわかってくるから” とは、その社の幹部員氏の弁でした。

ここには時代錯誤の門ではなく、勇気と先見の門、そして サ~~~スガの門があります

第三勢力はそのようにして台頭します。

漏れ検査冶具は黒子に徹スル可シ
黒子構造三原則
1.切削加工物には不動冶具を
2.プレス物、溶接物には遊動冶具を
3.少量多品種物には可変冶具を

 

黒子任務三原則

1.ワークと作業の手にキズをつけない形
角・エッジを丸める
接面加工しあげ度を上げよ

2.ワークに損傷を与えない材質
ワーク材質との相性を選定せよ

3.ワークに構造的負荷をかけない構造
局所的独立クランプのこと

其の五
 

今何ができるのか

「わが社はモレナキコトを全社的に徹底させた生産管理をしています。」
と胸を張っておっしゃるところでも、水没気泡目視の官能検査だけでの工程では、時折りポカミス品流出で緊急年中行事があってお忙しいことがあるんでしょう?  と持ちかけると、ニヤリとお受けになって「いや実は・・・・・・」と、 それから話はつながってゆきます。

納品受け入れ側(発注会社)で決めている漏れ限度を守って製造しているのに、見つかったNG品は限度値から3桁も4桁も遠くはなれた大もれジャジャモレばかり

工程では

モレレベルで 5×10-1 atm ml/sec を厳守すること とか
水漏れ限度で 1×10-2 atm ml/sec を死守せよ   とか
冷媒基準で  5×10-5 atm ml/sec を全うせよ   とか

ギリギリの線を決めて検査しているのに。
もし、漏れ限度に照準を合わせることが測定精度上で無理なことをやっているのであるなら、いっそのこと限度設定値を一桁下げることにしましょう。
測定部の安定度、検査装置の稼動安全、オペレータの操作管理能がゆきとどいてはじめて限度値が死守されるものだが、机上談義、会議まとめで決めた数値を現物の設定値に固定しただけで、なんでNG流出が止まるでしょうか。

現物工程は常に時間とともにゆらいでいるもの。
工程管理者はゆらぎに波乗りする技術を知らないでは沈没するか座礁するしかないでしょうね~
製造技術とその管理に心血をそそいでいる工程ならモレナキコトの号令を叫ぶよりも、ポカミス流出をおそれることからはじめましょう。

其の四
 

いじめの壁 エゴの壁

遠くはベルリンの壁、まわりにバカの壁、目の前に いじめエゴの壁。 いわゆるメーカーと呼ばれる最終組付総仕上げ工場のロビー(商談室・打ち合わせ室)の壁面に見かける
大きな張り出し板---------------ワースト10社

いささか古色蒼然たるこの壁は下請納入業者名の晒しの壁 見せしめの壁、 ひょっとすると時には下請登録という壁あるいは羨望の壁になることも有りや無しや

大漏れ品、溶接不良品流出、規 格外品・未検査品混入

ワースト10傑社は納入ロット全数、再検査の憂き目を満喫し、その度に原因検証報告、カイゼン案文作成のため昼夜を徹して奔走する人達を思いやりながら眺める野次馬の壁、同情の壁、反感の壁、万感の壁であったりする。

エネルギーの無駄使いは当該者達が思っているほど誰のためにもなっていない。浪費は命あるもの全ての敵。

何はともあれ緊急年中行事とも云うべき事後補填と言う後ろ向きの忙しさを解消するには何を成すべきか

日常定時較正。測定・判定の自動化。NG品仕分け確認検査合格印、日付押印、未検査品混入防止の工程調節態勢につくり上げよう。

さらしの壁は総力の壁に

かつての晒しの壁はメモリアルホールの歴史の壁、戒めの壁になり新たに協力の壁・団結の壁に生まれ変わるかも知れません。

これらはフイックションではなく製造業界の現実の日常の一齣を投影したものであり、企業・組織・団体を特定するほど少数の現象ではありません。実在の大多数の企業、組織間で半世紀以上にわたって実施されている慣例行事をレポートの形に基づいて、そのまま表現したものです。

其の三
 

校正管理とお墨付

 生産工程における検査装置の較正管理は測定器単独の較正だけで、「ハイお墨付証!」と、すまされるでしょうか。
現場での検査は ワーク + 冶具 + 操作系 + 測定系 + 制御系 の丸ごとひっくるめて検査に関わる系全体から出力される値をもって管理しなくていいの?  不安はないの?  疑問はないの?

あなたが最近乗り換えた愛車の保証書は、エンジンの性能書だけだったり 内装の検定書だけだったら、あなたは安心して乗れますか?

 お墨付とはあらかじめ企画された型枠に従って書き込まれたお札でしょうか。部分的に特名が入れば特札となり、お布施額の低いのは判子、転写、コピー等で以下同文となりましょうか。 (そもそもお札の御利益は、これをチラツカセれば実体を詮索されずに遣り過ごせること、そんなありがたい世の中もありましたね。)
 そんなカラクリの中で生産工程を素通りして行った製品が市場で人命にかかわる事故を起こすことがあったら・・・・・・
それを野放しにしていた期間のアガリで宴会と華麗な日々を謳歌していた人々がいたら、どう裁くことができるでしょうか。

一度に多数の人命にかかわる事故の多くは比較的知名度の高い大組織の生産工程から流れ出た商品に多い、と言ったらそれは独断と偏見だとあなたも思うのですか。

そのような犯罪に組した人達でさえ個人的生活にまで責任が及ばずに過ごせる世の為来りが事故を温存させる道でもあったりしたら一級のスリラー物語りですね。

 現場での実体を見ないで過ごせる世界がどっかりと上空を覆っていたり、生産工程の関連した系全体ではなくて、部分的較正だけのお墨付証を切札として罷り通る制度が存在するかぎり事故はこれからも増殖するでしょう。
事故は事前に防ぐもの、その努力と費やされる労力が報われる社会機構をつくり上げたいものです。

お墨つけ

 許認可制度がほどよく管理され、それぞれの分野で努力する人達にほどよく利益配分される世界があったらこれはゆかいなことですが、お墨付札は本来単なる限度基準であるのに、いつの間にか銭金がぶらさがり権威に結びついてしまう。
一枚の札がそうなのだから、札を発行し管理する人間はその上に押し上げられ易いのは、ごもっともな筋書きだから、そんな筋書きなんか消してしまいましょう。
 お墨を付けて塗り潰しましょう。

かつての大戦の後に国定教科書の行文単語を墨で塗りつぶしたように、虫食い状にではなく 全面に塗り潰しましょう。
お墨が馴染めない世代には、修正ペンにしましょうか

 何はともあれ利権が絡む制度が成り立つ温床を無くするよう行動しなければなりません。 お墨付を必要としない制度を考えましょう。
地球上の何処に居ても、どこのオフィスやどこの現場でも、雨の日も晴れの日も冬でも夏でも朝でも昼でも夜中でも誰でも得られる基準なら、お墨付札に群がる理由が無くなるわけで、権威や制度で押し付けたもの、既得権で囲われたものではなくて、地上の自然現象を基準にできたらいいですね。
 そしたら、その番人の館も儀式もOBも天下りさんもお受け皿も存在する理由が消えるわけで・・・・ それでも己の身を動かさずに何かエーコトにありつきたい願望人種用には、せめて富札をつくるなり、賽子を振ってもろて、一喜一憂してもろたらえぃねんとちゃうやろか。

其の二
 

全数検査と抜き取り検査

 生産工程での漏れ検査(気密検査、リークテスト、漏洩試験)においても抜き取り検査が通用した時代もあったことをふりかえると、技術の進展ばかりでなく知恵の蓄積もあることに、ある種の安堵を覚えます。
 かつて、検査と名が付けば工程の中では余分なこと、生産の足を引っぱる食み出し工程と考えられていたことが今では生産行為の中の重要な一工程であると認識せざるを得ない時代になりました。
抜き取り加工、抜き取り組み立て、なんて言葉が存在しないように、検査においても全数検査でなければなりません。

抜き取り検査が通用する世界

 抜き取り検査の意味とその有効性の論理を理解しないまま、生産工程なら何にでも確率論的に大丈夫と言う流行の時代もありました。
抜き取り検査が有効なのは次の条件が満たされる場合に限ります。
生産物の利用者、使用者、消費者がある程度の数量を使い続けること、1個だけ使用することも、1回だけ活用することもない物であることが前提です。
一人のユーザーが使う量や回数や頻度の中で、不良品に出くわす確率的回数は心情的に許容範囲であるかどうか。メーカ側からすれば、NG品をつかませた不祥が営業販売に影響を及ぼさない程度のものかどうか、ユーザーが不良品をつかんだとき、軽い舌打ちだけで、それをポイと捨て、替り品を気軽に使ってくれる種類のものであるかどうか。
例え量使い対象品であっても、事故につながる可能性の高いもの、命にかかわるもの、大きな損失につながるおそれのあるもの等々、 そのことによって生産者や販売者が起訴されたり損害賠償を請求されたり、企業のイメージダウンにつながる畏れのある生産物に抜き取り検査など通用するわけがない。

全数検査はラインバランス

 製造工程での検査は、ちょうど背骨の軟骨のように各工程間に位置することによって互に不連続な工程の連続化を実現する役割があります。
 オンライン漏れ検査は、一次加工工程が次の二次加工工程につながる生きたラインバランスの管理体制を形成する仕掛け人です。